Low Kick - 2nd -

たぶん全部ひとりごと。 テキトーだけどマジメです。

お菓子を渡す人になる

前のエントリーの続き。
「なにごとも放り投げてしまう」というのはすごくわかる。自分でも非常に自覚がある。
だけど、それをどうやって直していけばいいのか。


まず、愛がないとだめだ。ちゃんと置きにいく筋力がないと。
だけど、いま君は愛が足りてないから、ためなくちゃいけない。
「そうだなあ」
その人はしばらく考えて
「そうだ、手土産!」
食べものを、会う人会う人に渡せばいい。
しかも、自分が美味しいと思うやつ。
「『好きに食べて〜』って置いておくんじゃなく、『食べて』って渡すんだよ」
その「食べて」の言い方が面白くて、私は何度もゲラゲラ笑った。
「修行だからね、これは」
と何度も言われた。


お菓子を配り始めると、いろんなことがわかった。
そもそも私は、お土産を渡すのも苦手だった。
照れがあるし、一人一人に配って断られたら嫌だし、嬉しくないと思われたら嫌だ。
でもそれが、放り投げているってことだった。だから一人一人に置きに行く。
それはリハビリ。
簡単にできるようになったら、言葉でもいいんだから、とその人は言った。

 

なにごとも放り投げずに生きよ

前のエントリーの続き。
私の話を聞いてくれたその人は、しばらくして「距離があるんだよね」「冷たい顔の静止画が残るわけ」と言う。
確かに、話の途中で目線を外して外を見たり遠くを見たりするのは私の癖で、そこで相手との距離ができてしまうのかもしれない。
だけど、そうしないと間が持たなくて、落ち着かないのだ。


結論は「恥ずかしい」ということ。
とにかくいろんなことが恥ずかしい。

恥ずかしいから外を見る。恥ずかしいから本音を言わない。
それをまずなくそうということになった。
ただ、完全になくなりはしない。「いいところでもあるからね」と何度も言われた。
でも、そのせいで生きづらいのなら、緩和したほうがいい。
だから少しずつ、恥ずかしさを克服する。


何かの行動ができないときに「傷つくのが怖いから」と私は何度も言った。
これまでだってそういう話を誰かにしたことはある。
そこで「誰だってそうだよ」「そんなこと言ってたら始まらないよ」みたいなことを何度言われたことか。本当に、何度も、嫌ってほど、悪気なくスルーされてきたのだ。
私が人より傷つきやすいとしたって、そんなことは私をはじめ誰にもわからないし、証明のしようがない。
でもその人は私の目を見て「そうかあ」って顔をした。一呼吸おいて、次の言葉を発した。
その「そうかあ」の表情で、私がどれだけ救われたことか。


「こんな風にスルーされて傷ついた、でもそんなもんですよね」みたいなエピソードを話した後、
「ああ、わかった。なんかね、こういう感じなんだよ」
と、その場にあったふせんをポーンと机の上に投げた。
ふせんはテーブルに落ち、少しススーッとこすれて向こうへ進んだ。
「放り投げてるの。ぜんぶ」


筋力がないからだ、と言われた。筋力はあるつもりだったけど、セッターなのにトスが遠くまで飛ばない。それは筋力がないのかもしれない。
筋力以外でいうと、しっかり置くことに対する恐怖。
置きに行ったら、思ったところに置けないがために傷つくかもしれない。でも放り投げておけば「勝手に取ってね」と言えるし、相手に届かなくてもショックを受けなくていい。
期待をしなければ傷つかない。ちゃんと渡すことをしなければ、受け取ってくれないショックもない。


そんなわけで、私がこれまでの話の内容をメモしようと出したノートに、その人は「なにごとも放り投げずに生きよ」とへたくそな字で書きなぐった。


まだもう少しあるけど今日はこのへんで。

 

人前で泣いたほうがいい

私を「人見知りなんだね」と言ったその人は、私の話を聞いてくれると言った。
「人見知りなんだね」と言われただけで泣いてしまった私を見て、私が何かから救われたいのだと思ってくれたのだろうか。


「何に困ってるの?」
なんの見返りもないのに、私の話を聞いてくれるのはなぜなのか。そんな人の話をすべて聞いていたら、時間がいくらあっても足りないではないか。
「僕と関わりのある人で、何とかしたいと思ってる人がいたら、何とかしてあげたい。それで『助けてほしい』なんて実際に言ってくる人はそんなにいるもんじゃないんだよ。だから大丈夫」
そう、私は少しの勇気を出して「聞いてほしい」と言ったのだった。逃げてばかりではダメだ。もうここで一歩踏み出すしかないと思った。私はそれほど切実に助けを求めていた。その人とは、ほぼ話したこともないのに。


何から話したらよいのか。ひとまず、心に刺さった棘を少し話す。
「かわいそうに」とか「大変だったね」とか慰めの言葉を言うでもなく、いろいろと話したあとに、
「それよりも、君自体が問題」
と言った。今のこの状態をなんとかしないと、棘を抜いても解決しない、と言う。


まず私は、傷つきやすくて恥ずかしがりやで怖がりの自分Aをひたすらに隠そうとしている。だから冷静で落ち着いた自分Bを作って盾にしてきた。
その自分Bは冷静沈着で、自分を俯瞰できていると思ってきたけれど、ただ弱い自分Aのアンチテーゼでしかなくて、Aに振り回されている存在でしかない。つまり俯瞰できていない。だから、どちらも俯瞰できるCの存在がいた方がいい。いつも弱い自分Aを出すのはかなりリスキーだけど、それを解放してあげることも必要で、CによってAとBをスイッチできるようにしなくてはならない。

 

「今までずっとAの存在を誰にも知られずにいた。勇気を出して話しても『そんなことない』と言われたり、スルーされる」

「ほとんどの人はね、鈍感だから。でも、わかる人もいるよ。匂いでわからない?」

「わからない……」

「わかる人はわかってるはず。だけど、助ける義理もないから放っといてるだけなんだよ」


Aを解放するためには、恥ずかしいとか言わない。傷ついて泣くのは恥ずかしいけれど、どんどん人前で泣けばいい。泣かないとまた盾であるBを使わなくちゃいけない。そしたらずっと苦しい。
「泣いたら馬鹿にされたり、引かれたり、スルーされたりする。そしたら傷ついてしまう」
「傷ついたら俺に言えばいい。『そいつは鈍感で馬鹿な奴だ』って言ってあげるから」


他にももう少し言われたんだけど、また次回に。