Low Kick - 2nd -

たぶん全部ひとりごと。 テキトーだけどマジメです。

本の価値

本を作ることを生業の一つにしている私たちですが、その業界内でも「紙は終わりだ」という人が少なくない。そういう人はもう紙の本を読んでいないのかもしれない。


先日例に出されたのが
「子どもが・・・・という質問をしてきて、いつものとおり図鑑で調べよう、と図鑑を出してきたが、載ってない。結局ネットで調べてわかったものの、子どもが『お父さん、いつも図鑑で調べろって言うけど、ネットの方が早いじゃん』と言われてしまった(笑)」
というエピソード。それって、本の価値を表している話なんですか?
全然全然納得できなくて、反論しようとしたのだけど同席している人も本を読まないのか「本当にそうですよね・・・」うーん。本当かよ。
お二人は、本の価値を「情報を得る」ことだと考えているんですね。うん、それはよくわかりました。

私は最近読書量が増えているのだけど、やっぱり本には多大な価値がある。
電子書籍との違いという意味では物理的なもの(紙の質感とか、パラパラめくりやすいとか)しか言えないのだけど、紙の本には今まで培ってきた流通などの仕組みがあるわけで、売れる確率も高い。
また、売上が見込めるから能力のある人が関わっていて、クオリティの高いものが作れるわけだ。
だからその、クオリティが高いとか、本屋が広告の役割をしてくれるとか、そういうのも含めての本の価値(崩壊、あるいは衰退し続けているわけだけど)と考える。

何かを知りたいと思ったときに、関連する本を何冊も何十冊も読むことは結構大事で、情報だけではなくて知識として身体に染みついてくるし、新しく本を読んでも目新しい内容に当たらなくなってきたら、結構習得できてきたな、ということがわかる。
何にしても、劇的に安いわけだ。10冊買っても1万5000円とか。古本も駆使すればもっと安い。この金額は、セミナーなどの授業形式やコンサルでその知識を得ようと思ったら1時間分くらいにしかならない。実際に経験しようと思ったら何年もかかる。
そこで、果たして無料のインターネットでその役割が果たせるかというと、果たせないと思う。体系的には身につかない。本で言うと数冊分の目次が読める、くらいの知識・情報量くらいにしかならないのではないかな? あるいは数ページの断片。それも、なかなかたどり着けない。かつ、簡単にたどり着けるものは多くの人が読んでいる。

例えば・・・野球のピッチャーになりたいのに、基礎体力がないままにフォームを一生懸命調べている感じ?
まあ、情報にもよる。例えば、カブトムシのことなら何でもいいから知りたい、ということなら、ネットの方がいいのかもしれないね。でも、虫の生態についていろいろな方面から理解を深めたいなら、本がいい。

例えるなら、「甘い」を知るために、砂糖でわかった気になってていいんですか? ってことかなあ。
いろんなくだものの甘味を知った方がいいし、野菜や穀物だってそう。あとは、砂糖の元になるさとうきびの甘さとか。
それによって、くだものの旬だとか、香り、冷やしたときと室温の違い、野菜の色や香り、そんなものまでわかってきて、それは人生を豊かにしてくれたり、意外なところで役に立ってくるのだ。

て、難しいな。
本の良さは、早起きの良さを伝えることと同じように難しい。
聞いただけでは良さがわからないし、1~2回ではあまりわからない。
でも続けている人には絶対的にわかるものなんだよな。

もうひとつ単純に誰でもわかることで言えば、
人と違うことをしていた方が自分の価値が上がると言うことかな。
周りが本を読まないなら、本をたくさん読んでいれば人と差が付く。なんて簡単なんですか!
周りがネットを駆使して情報を集めているのに、それに追いつこうとネットを探していても、追いつくことこそあれ劇的に差を付けることはできない。

差なんか付かなくたっていいと思う人は・・・しかたないか。
人と違う能力や知識を持っていた方が、稼ぎやすかったり、生きやすかったりするはずで、今後はもっとその傾向が高まると思う。

人が本を読まなくなった今こそチャンス。読めば読むほど、読むスピードも速くなってくるし。
まあ、だから誰にも教えず一人で読んでいればいいんですけどね・・・w