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Low Kick - 2nd -

たぶん全部ひとりごと。 テキトーだけどマジメです。

謙遜は美徳なのか

美意識、ってありますよね。
不動産関連の著書をたくさん出されていて、端から見たらかなり成功されているという男性にインタビューしたことがある。「だって、かっこいいじゃないですか」というフレーズがすごくたくさん出てくる。「かっこわるいからやめた」「かっこいいからやった」――それはその人の美意識なんだな、と思った。

最近読み始めた『日本人の誇り』という本。


小難しそうに見えるけど、著者の方が(いわゆるバーコード頭なんだけど)偉く面白い。
そもそもPodcastで知って、「私は欧米ではモテるから」「私は英国紳士風の出で立ちで、父には似ても似つかないのにそっくりだと言われてひどくショックを受けた」「本当は酒池肉林で過ごしたいが、誰も相手にしてくれないので仕方ないから次の本の下調べをしている」などなど。
そのくせ、「日本人の文化は素晴らしい。世界7大文化に挙げられるほどのもので……」「父の風景描写の美しさと言ったらない。とてもじゃないがかなわない」と、感受性豊かに語る。
「なんだこの面白い人は!」と思い、Amazonで早速検索し、読みやすそうで評価も高かった上記の本を購入した。なんとベストセラー『国家の品格』を書いた著者だったのだ。読んでないけど。

本はまじめに書かれているのだろうなと思っていたら、「はじめに」からして笑わせてくれる。ほんの2ページに、3箇所も4箇所も笑いどころがあるのだ。
本編にはさすがにそれほど頻繁に笑いどころが出てくることはないけれど、ときどき出てくると声を立てて笑ってしまうほど。オビに顔写真が載っているので、「この人がね……プププ」と夫に逐一報告したくなるほどだ。

「ここで脱線して」と前置きを入れて、美しいことについての持論を述べる箇所があった。
数学者である彼は、「真髄とはすべて美しいのだ」と思っているそう。経験上そうだったと。
数学者は誰しも、役に立つものとは考えず、美しいもの(数式や定理)を求めているのだと。
だから、「真髄にたどり着くは美しいものを探せば良い」という。
なんてしっくりくる説明なのか! と何度も読み返した。

ものすごく偉い(?)数学者マイケル・ワイル氏はこう言いっていたとか。
「父は常々、真・善・美は同じ1つのものの3つの側面に過ぎない、と強調していました」
著者の藤原氏は、真=美は納得できるけれど、善はどうなのだ、と思っていたそう。
私も同意。以前「善意に自信ある?」というエントリーを書いたのだけど、私にとって「善」はちょっとなじみのないもの。自分として決着が付いていないものだったりする。
ところがその後の補足として
「日本人が道徳上の善悪を宗教や論理ではなく『汚いことをするな』などといった美醜によって判断してきたことに気付いた」
とあった。
なるほど。そのあたりにヒントがありそう。

Facebookを見ていて、自分の誕生日に友達や仕事上の知り合いなどを百人単位で集めてパーティしている人がいた。私も誘われたのだけど、行けないでお断りをした。
彼の友達は会費を払って、彼の主催した彼の誕生パーティに行くのだ。
いいんだけど、そんなに何百人も集められるなんてうらやましくもあるし、楽しそうだけど、なんだこの違和感は? と思っていた。

本を読んだあとにFacebookを見て、「そうか、私の美意識と真逆なんだな」とわかった。
頭では悪いことではないとわかっているのだけど、なんだかなあ、と思うのは、私の信じている「美」と合わないからなんだろうと。

私は恥を感じるとか謙遜とかをずいぶん美徳として考えているようで、それを絶対に良いことだと思っているわけでもないのだけど、積極的に変えようと思わないので変えられない。
どうしてそんな美意識が身についてしまったのか謎なんだけど、やっぱり日本人だからなんだろうな、と思う。

そのルーツを探ってみたいな、と思うわけです。
でも歴史がとにかく苦手で、困っている。今回の本をきっかけに少しずつトビラを開けていきたい。
ひとまずまだ読み終わっていないので、ときどき笑いながら読み進めたいと思います。

===
後日追記

読み終わった。

その間にも、この藤原正彦というおじさまが気になり、検索してみると動画があった。
教育について話しているのだけど、国語教育が絶対に大事だと。しかも読み書きだという。
なぜならば、人間は言葉で考えているからだと。
語彙の数が思考を深めると言っている。
若者言葉はいっこうに構わないのだけど、少ないのがいけない、という。

ちょっと関連して、お笑いというのは語彙力を高めるモチベーションにはなるのではないかと思う。
だって、人が使わない意外な言葉を使ってこそ、というところがある。比喩とかも知識が必要だし。
予定調和の笑いもあるけれど、基本的に人は意外性に笑ってしまうのだと思う。
日本のお笑いレベルは高いと言われる(言われてるかな? 思っているだけ?)けれど、
それは日本人が全員日本語を深く知っているからこそだと思う。
アメリカのように、英語のつたない人が多いところでは、言葉遊びが深まりようがない、のではないか(英語はからっきしなので本当のところは知らないけど)。
だからアメリカンジョークと言われるような、わかりやすいギャグが必要になるのだろう。

藤原先生の動画の続き。
今の若者が独創性があるのはファッションくらい、と言っていた(と思う)。
授業中にへそを出していたりね・・・と言った後に、「私は嫌いじゃないですけれども」と続く。
突然のユーモアに笑ってしまったが、アナウンサーなどは完全無視。その空気にも笑った。

仕事帰りに寄った本屋では、最新刊『孤愁 サウダーデ』を探して、分厚さにビビリながらも買ってしまった。

さて本題の『日本人の誇り』は、最初に日本人の美徳や美意識について触れた後、
あとはずっと歴史(戦争)の話。
漢字は読めないし、人の名前は知らないし、なんとか条約、と言われても何のことだかわからない…という流れが延々続き、でも何とか意味を理解しようと努めながら読み進めた。
最後は本当に美しい結末で締められており、日本人の大勲章について、また、今後の希望についても書かれていて、涙ぐみながら読んだ。

読み終わって。
自分はどうして日本人らしい面を持っているのだろうかと考えた。
親から影響を受けたという感じはあまりしない。似ていないから。
社宅で大浴場に入っていたのは日本人的かもしれない。
小さな頃に読んだ本だろうか。宮沢賢治……くらいしか思いつかない。ひとまず宮沢賢治を読み返すのも悪くないな。

その前に『国家の品格』を買うべし、と思ってAmazonを見た。
相当に売れた本らしく、Wikipediaでは260万部以上の数字になっていたと思う。
今年、ミリオンセラーは阿川さんの『聞く力』だけなんだよ! それを思うとものすごい数字。
Amazonでは、中古で1円からとなっている。新品で714円、Kindleで600円。
私はもう藤原正彦というバーコード頭のおじさまのファンのような気持ちなので、新品714円を買おうかなあと思っている。
どこかで会えることになってサインもらえるかもしれないし。その時に中古じゃまずいしね(笑)