東京の足立区から群馬へ転校したのは、中3に上がるとき。
数学は、S先生。
持ち上がりでないというS先生は、私以外の子たちからも馴染みがない。
「僕の授業はすっごくわかりやすいんで、任せてください」
と言う。
最初の頃出てきたのが、ルートだった(と思う)。
S先生は、黒板におおきくルート2を書いた。
それまで、数学ってリアルとつながっていた。
1/3と言われれば、大きさや長さで想像できる。
でも、ルートって?
二乗するとその数になる。しかもそれをルート記号の中に書くとはなにごとなのか。
でも、S先生は「はいこれだけ。簡単でしょ?」みたいに言う。
その時に、その慣れない記号を、概念としてとらえて、慣れなくてはいけないと思った。
なんでそうなるとか、だからどうした、ではなくて「そういうもん」というように。
その「概念」っていうのはそのまま伝えることはできなくて、いわゆるいろんな例や問題を重ねて自分で作っていくものなんだと思う。
高校では、理系だった。
S先生の影響はあるのだろうか。
女子校だったので理系は少ない。
英語に力を入れていたT女子高は、理系の先生は肩身が狭い(ように見えた)。
先生は、高校1-2年で習った代数幾何とか、その辺のことを意図していたのかもしれない。
あるいは、ルートの頃から続いているのかもしれない。
数学を習うときに「最終的にこんなことができるようになるよ!」ってわかりやすく伝えられれば、
もっと好きになる人が増えたり、概念を捉えやすくなったりするのかな。