ものすごく遅ればせながら「君の名は」を観た。
すこーしあらすじを知っていたのもあるし、風景が美しいという前情報もあったので、そのあたりはふんふんと観た。半分くらいまでは、とても好きな雰囲気だった。
いちばん心に残っているのは、大切な人の名前を忘れてしまうこと。
その人の体の中に入ったという、唯一無二の人。他の人とは決して味わえない一体感。2人でひとつみたいな感覚。
そんな大事なひとの名前と顔と感触と想い出と……それらすべてを忘れてしまう。それなのに「煮詰まった想い」だけが残っている、そんな悲しいことってあるんだろうか。
例えば今大切にしている人、その人をすっかり忘れてしまうようなことがあったとしたら。
忘れてしまっても日常は回るし、それぞれ幸せなこともある。
私は特に忘れっぽいから、忘れてしまう悲しみに対する恐れがすごくある。
忘れてしまったら悲しいも何もないんだけど、でも悲しい事実だ。
だから私は毎日毎日文字を書く。愛おしいものを忘れないように。