「ほんとうのこと」に対して「ことば」はどれくらいの力があるのだろうか。
「ほんとうのこと」と「ことば」は
「リアルなもの」と「スケッチ(または写真)」と似たような関係だと思う。
3次元のもの(リアルなもの)を2次元(スケッチ)で伝えようとしたとき、
それを知らない人にはきっと、ちゃんと伝えられない。
立体として伝えるためには、あらゆる方向からのスケッチが必要で、それによってようやく全体のかたちを伝えられる。
心で思っていること(ほんとうのこと)は実際に見せられないから、
「ことば」を使う。
ただ、ことばでは一面しか表せない。
だから角度を変えて、あっちからもこっちからも見つめなおして、ことばを尽くす。
だけど、「それ(同じもの)」を持っていない人には、やっぱりなかなか伝わらない。
同じものを持っている人には、どうか。
きっと、ひとつのスケッチ(ことば)を見せるだけで、
「あ、同じもの持ってるよ」とわかる。
今度は相手が「こっちからみるとこうでしょ?」と言う。
「そうそう、同じかたち」
それは2面も説明すればたぶんわかりあえる。
ほんものを見せることはできないけれど、ことばを尽くせば、同じとわかる。
ただ、ことばはほんとうのことを「まったくその通り」に伝えることはできず、再現されるかどうかは相手にゆだねられる。
ことばではほんとうのことを表しきれないけれど、
ほんとうのことを表すにはことばを尽くすしかない。
と、そんなふうに思うんだー。