きっかけは、夫が晩ごはんをよく抜くことだった。
昼ご飯がおいしくて「たくさん食べたい!」と思うときに、それを我慢するのではなく食べてしまって「晩ごはんを抜こう」と思うらしいのだ。
かつ、もともと晩ごはんをろくに食べない生活をずっと続けてきたから、本当は晩ごはんを食べたくないのだという。
夫婦になって生活を共にすると、見えてくるものがある。
我が家の朝ごはんはとても適当で、トーストだけとか、昨晩の残りとか、ご飯と納豆とかだった。
昼も時間がない中で作るので、具が少ないパスタが多い。ご飯だとしても丼物などの一品料理。
ちゃんと作るのは夜だけで、いつの間にかそれは私の楽しみのひとつになっていたのだった。
食べてくれる人がいるから、作るのが楽しい。そういう、他者に依存したひとりの楽しみとでも言うのだろうか。
それをあまり食べたくないというのは、自分が否定されているわけではないと頭でわかっていても、かなりショッキングだった。
どうしようか。
彼の言い分も聞いて、私の中に潜んでいた気持ちも振り返って、「作ったものを食べてもらう」行為はやめたくないと思った。夫も、私の大事にしていることであれば何とか満たしたいと考えてくれた。でも、気が進まないのに晩ごはんを食べてもらうのも本意ではない。
いろいろとアイデアを出す中でよさそうだったのが、「朝ごはんを晩ごはんみたいにちゃんと作るようにしようか」という提案だった。その代わり、晩ごはんをすごく軽くする。それで、私の負担はこれまでとそう変わりないはずだ。
それに、朝ごはんをちゃんと食べて、昼はそれなり、夜軽いというのは、理想的な食事バランスのはずだ。そう考えると、健康マニア気質がそれなりにある私は楽しくなってきた。
子どもたちにも了承を得たので、早速今週からスタートした。
時間も二人で決めて、6時に起きて、1時間料理をして、7時から朝ごはんを食べることにした。これまでは起きる時間がバラバラだった夫も、7時には起きるように頑張っている。
メニューが晩ごはんと同じというわけにはいかない。お腹の弱い夫は、朝ごはんに脂っこいものを食べると胃もたれしそうというので、炒め物などはしないようにする。その代わりに蒸し野菜を取り入れたら好評だった。ヘルシー。
これまでの習慣がこんなに劇的に変わるってあまりないので、まあまあ楽しい。