こんな本を買いました。
「翻訳できない世界のことば」
以前、家族で車に乗り光が丘公園へ向かいながら、
桜並木や銀杏並木からこぼれる陽の光を浴び、
「ほら、木洩れ日がきれいだねえ」と子どもに話したことがある。
「こもれびってなに?」
と聞く長男に、説明する私たち。
「木洩れ日って、美しいことばだよね。日本語にしかないのかな」
みたいな会話を夫婦でして、そのあともその道を通るたびにことばの美しさを感じた。
「翻訳できない世界のことば」
というタイトルを書店で見たときに、「『木洩れ日』も載ってるかな?」って思った。
ぱらぱらと立ち読みすると、素敵なことばがたくさん載っている。
こんな気持ちを、状況を、一言で表せるなんて素晴らしい。感動しながらページをめくっていると、あった。
「KOMOREBI」
たまらなかった。ぐっときた。琴線に触れた。心が揺れた。
涙がほろりと、喉の後ろの方で準備を始めたのがわかった。
私が小説や物語、映画、音楽に求めているのは一貫してずっとこんな感情で、
感動するとか、涙ぐむとか、そんなことばでは言い表せない感じ。
ずっと私の中に確固としてあって、姿ははっきり見えている。だけど適切なことばが見当たらない。
どうやったら言い表わせるのかとずっと考えてきたけど、
もしかして世界中を探してみれば、そんなことばがあるのかもしれない。
まだ最後まで読みきっていないこの本に、載っていたらいいなと思っています。