会社を作るなんて思ったこともなかった。
編集プロダクションにいた頃、実質ナンバーツーになってしまって、いずれ会社を継ぐのだと言われていたことがあった。
当時はその気になっていた気がするが、実際はその会社を辞めてしまった。
その後フリーランスとしてずっとやっていくのかなと思っていた。
フリーランスで働けなくなったらどこかに雇ってもらうことも考えようと思っていた。
(実は、フリーランスになるなんてことも、若いころは全く考えていなかった)
「何でもできるよ」
初めて意識したのは、今の夫に言われたことだったかもしれない。
「えみなら何でもできるよ」
「個人的には、会社作って社員雇ってバリバリやればいいのにって思ってる」って。
そういわれたときに、「いやいや私なんてムリムリ」と思うのは、これまで通りでつまらないなと思った。
「怖いけど、会社作るってどんな感じかな?」とすこしだけ考えてみた。
それが本当に第一歩だった気がする。
「会社を作らないのはもったいない」
そのあとは、安田佳生さんが勧めていたことが大きい。
「この資本主義経済の中で、株式会社を作らないのはもったいない」
という。
節税とかそういうことではなく、「人生ゲームでコマが一つ増えるようなものだ」という。「やってみれば楽しい」と言うのだ。
「お金借りられるし」
「社員雇えるし」
「事業を売却できるし」
と言われても、それがどうして嬉しいのかよくわからない。私は、当事者になってみないと実感が持てないタイプの人間なのだ。
だけどこれまでに、新しいことをスタートしたときに新しい世界が開けてくる感覚は何度も経験している。
新しいことを知って、いいことも悪いことも体験して、また知りたいことが増える。
そういう感覚は、人生の醍醐味と言えるものかもしれない。
人生の地図が広がる感じ、というのではまだ言い足りない。
どこでもドアで知らない世界に突然飛び込んだ感じかもしれない。
ゲームで今までと全く違うステージに入った感じとか。
会社を登記しただけなので、いろいろなことはまだ始まってもいないけど、そういう感覚になれそうな予感がした。
その世界のビギナーとして何かを始めるっていうのが割と好きなのかもしれない。
コルクラボの経営者部
入っているコミュニティが2つある。コルクラボとGIVEの実験室。
コルクラボは「経営者部」というものがあり、会社をやっている人たちが集まっている。私は個人事業主だけど経営の話を聞きたいと(なぜか)思って入っていた。
それで、経営を身近に感じるようになったのかもしれない。私もそれをやってみたいと思った。
GIVEの実験室
GIVEの実験室は、小さな会社の経営者の方が多い。
創業者もいるし、先代から引き継いだ人もいる。
そんな人の話を聞きながら、いろいろ迷ったら聞ける環境にあるから飛び込めるなと思った。
編集者の友人
友人の編集者の方が、数年前に合同会社を立ち上げていた。
それで、「特にいいこともないけど」と言いながらも、大きな仕事を受注する際は、法人でよかった、ということがある。
身近に会社を作っている友人がいるのは、自分ごとになりやすい。
子どもに見せたい
わが子は不登校児だ。
勉強はほぼしていない。
今後少しずつ勉強するにしても、学歴重視のルートを歩むのは難しそうだ。
学歴がないと、就職も不利に違いない。
そうなると、学歴不問の世界で、自分の力で食べていくのがいい。
「ママが会社作れるなら俺にもできるだろ」と思ってもらいたい。
身近な人がやっていることは、自分とごとになりやすいし、会話などから事業のなんたるか、会社の何たるかを知ることになるだろう。
彼らが会社を興したいと言った時にも、私が経験していれば、何か後押しをしてあげられるのではないだろうかと考えた。
経営者の夫
最後に夫。
夫は社長ではないけれど、経営者だ。
彼にもいろいろと相談できる。会社規模が違うし目指している成長スピードが違うから、株式会社という点では同じでも、やり方は全く違う。
それでも、いろいろと相談に乗ってもらえそう。
そんないろいろの背景や環境があって、会社を作った。
環境がその人の行動を決めるというのは本当なのだろう。
自分の努力や実力だけで道を開いていけたらそれは美しいが、現実はそうじゃない。
環境がなければ知ることもできないし、気づくこともできない。