Low Kick - 2nd -

たぶん全部ひとりごと。 テキトーだけどマジメです。

「昔の○○の方が良かった」

ラジオでゆずの「虹」が流れてた。高い声でのハーモニーがすごく力強くて、気持ちいいな! って思った。
ずいぶん前の曲だと思ったけど、2009年だからさほど前でもないのか。
以前誰かのブログで、「多くのファンは今より昔のゆずのほうがいいと思っている」と書かれていた。この頃(「虹」の頃)は“ファンが好きな”ゆずなんだろうか。
それは、ファンの勝手な言いぐさなんだろうな、と今は思う。

人はずっと同じ場所にはいられなくて、こういう曲がウケるよな、なんて思いながら作るのは制作者かもしれないけどアーティストではないのかな、とか。

「以前ヘビメタをやっていた」というK君と話したことがある。アマチュアバンドだと思うけど。
他の誰に聞いても「ギターが超上手い」というのだけど、あるときからぱたりとやめたのだとか。
辞めたことと関係あるかわからないけれど、「曲調を変えるとこれまでライブに来てくれた人が離れちゃんだよね」と言っていた。
私は、これまでに好きなアーティストが指向を変えていって寂しい思いをしたことが多々あるので「ファンはその人の曲が好きなんだから、その好きな中で曲を出してもらわないとちょっとね」みたいなことを言ったと思う。
なんて言って否定されたかわからないけれど、そういうものじゃないんだ、って言われた。やりたいことがあるのに、ファンの顔色ばかり見て曲を作るわけにはいかないと。

デーモン小暮閣下(でいいのか?)が「聞く力」でミリオンセラーを出した阿川さんにインタビューされた内容がウェブに載っていた。
「ヘビメタって、何ですか?」
閣下はちゃんと答えた。ロックから派生して激しくなったもので、その中に「様式美」を持っているのがヘビメタだと。歌や演奏が上手いのは前提条件で当たり前。その上で、「上手いからって何なんだ!」みたいなパンクロックも生まれた。
本当はもっと詳しくわかりやすく説明していましたよ。

K君も似たようなことを言っていた。
あるときヘビメタのアルバムのジャケットを見たら蛾の絵が描かれていた。その羽根の柄はとても繊細で、目をこらして見れば見るほど美しいんだと。
一見汚いかもしれないけれど、よく見ると繊細で美しい。それがヘビメタなんだよ、と言っていた。


アーティストが好きなことをしてファンの嗜好からずれていく話に戻ると・・・
ミュシャ展に行ったときにも思った。
女優のため、製品のため、求められるポスターやパッケージを描いていたミュシャの絵はとても魅力的で、ひとだかりができていた。
その後、祖国を思い暗い絵ばかり描いていくのだけど、あまり熱心に見る人はいない。
どうやっても、ポスターやパッケージの絵の方が魅力的なのだ。
でも、たぶんミュシャはそこへ行かざるを得なかった。その時にどこまで求められたのか、自主的だったのかわからないけれど、ファンの求める絵を描き続けるだけではだめだったんだろう。

先日テレビで、小山薫堂さんと、佐藤可士和さんが対談する番組をやっていた。
小山薫堂さんは無駄を大事にする。遊び心が大事。カバンの中にたくさんのものが入っている。
佐藤可士和さんは無駄を徹底的に排除する。整理することで大事なものが見えてくる。出かけるときは手ぶら。
2人はまったく違うようで、ちゃんと届く先を見ていた。薫堂さんは自分がやることで誰かを喜ばせたい。可士和さんはクライアントの求めるものを作り出したい。だから、外から見てやっていることが変わっても、自分としては変わっていない、のだとか。
こういう人は、それが喜びだから、自分を見つめて制作したり、人が求めていないものを作ってしまうことはないんだろう。クリエーターであって、アーティストとは違うからなんだろうか。

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最近ブログを書けなかった理由はこちら↓とか。
http://smile-bayboo.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html